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2018 / 10 / 20  00:07

10/17大分県日田市 パトリア日田にて

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 大分県日田市での舞台演劇『島ひきおに』(原作:山下明生 絵:梶山俊夫)が17日に上演され、大成功のうちに終わった。

 私は脚本と劇中歌の歌詞を担当したのだが、正直、これが感動を呼ぶ舞台になるとはちっとも思えなかった。

 そもそもの原作が感動的なものではなく、どちらかと言えばもの悲しい、冷たい世間への恨み節に溢れた怪作なのである。

 心優しい鬼は結局人々に受け入れてもらえることなく、今も海を漂い続けているというラストには、何の救いもない。

 いいのかよ、こんなの子どもに読ませて。

 しかも、こう言っては失礼になることを百も承知で書くのだが、主要キャストを全て知的障害者が務めるとあっては、日頃、演技というものの難しさを痛感しているものとして、一抹どころか、かなりの不安を覚えて日田入りした。

 ところが、である。

 前日の練習をみせてもらい、演出を担当した畏友・樋口友治の手腕によって障害が個性となり、個性が役柄の中に落とし込まれているのを目の当たりにして、不安は全て消し飛び、きっと感動の舞台になるだろうことを確信した。

 高橋聡と山本ヤマによる音楽(作曲と演奏)も素晴らしかった。

 シンコペーションを多用したジャズ風の主題歌はさぞ教えにくく、歌いづらかったと思われるが、さすがNHK「のど自慢」チャンピオン加藤将平君(拙作『二人の鬼』では「日田どん」を演じて頂いた)のリードヴォーカルで、見事なフィナーレとなって会場の本物の感動の拍手を呼んでいた。

 この素晴らしい舞台に関われたことを、私は一生の誇りにするだろうし、これがゴールではなく、新たなスタート地点となることを心から願っている。

 一つ残念なのは、当日の午後、チラシを持って商店街を回ったのだが、イベントそのものがほとんど認識されていなかったことだ。

 このような実験的で素晴らしい催しが市民にほとんど知られていないのは、広瀬淡窓という詩人にして大教育者を生んだこの街にとって、とても大きな文化的損失だと思う。

 もし次があるなら、一週間前から日田に入り、ガンガン集客していきたいと思う。

 それでは、出演者の皆さま、素晴らしいお芝居と歌声を有り難うございました。

 関係者の皆さま、本当にご苦労様でした。

      平成30年10月19日 諌山陽太郎(伊佐山紫文) 

2024.04.23 Tuesday